沖縄の話を書いていたのだが、少し現在の話を挟みたくなった。
今年、店が40周年を迎え、俺自身も70歳、いわゆる古希になった。
妻とも相談して、「せっかくだから何か記念になることをしようか」という話になり、クルーズ船の旅へ出ることになった。
沖縄の思い出を書いていると、どうしても「旅」というものが頭のどこかに出てくる。若い頃の旅と、今の旅。形は違っても、やっぱりどこか繋がっている気がする。
なので、しばらくは沖縄の話を少しお休みして、今経験してきたことを書いてみようと思う。
有明のクルーズターミナルへ着いたのは、お昼の12時頃だった。
建物の中へ入ると、これから長い旅へ出る人たちが大勢いて、なんだか空港ともホテルとも違う、不思議な雰囲気だった。
受付を済ませ、スーツケースを預けると、そのまま乗船することができた。
ただ、まだ部屋には入れない。
出航は夕方6時なので、それまでは自由時間だった。
とはいっても、船の中は初めて見るものばかりで、退屈するどころではない。
とにかく広い。
エレベーターに乗って上へ行ったり下へ行ったりしながら、「今どこにいるんだろう」と少し迷うくらいだった。
船の中を歩いているだけでも、ちょっとした冒険みたいな感じだった。
しかも、もうビュッフェやレストランは始まっている。
なので、乗ったその日から普通に食事もできるし、お酒も飲める。
「まだ出航していないのに、もう旅が始まっているんだな」と、なんだか不思議な気分になった。
外国船なので、船内では現金は使わない。
専用カードを1枚持たされ、それがルームキーにもなっている。
船の上にはプールやウォータースライダーもある。
その横では、すでにのんびりお酒を飲んでいる人もいる。
「これから本当に10日間も海の上にいるのか」と思うと、なんだか現実感がなくなってくる。
夕方4時頃になると、ようやく部屋へ入れるようになった。
預けていたスーツケースも、ちゃんと部屋の前まで運ばれている。
部屋へ入って、そのままバルコニーへ出てみる。
まだ港に停泊しているのに、もう十分旅に出ている気分だった。
そして夕方6時。
船は静かに岸を離れた。
気がつくと、有明の景色がゆっくり遠ざかっていった。

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