1975年。
高校を卒業してすぐ、沖縄へ行った。
就職も進学もせず、とにかく沖縄に行きたかった。
理由はうまく説明できないけれど、海が好きだったし、沖縄という場所に憧れがあった。
大阪まで夜行バスで行き、そこから船に乗った。
確か「玉竜」だったか「玉竜丸」だったか、名前ははっきり覚えていない。
船で一晩かかって、沖縄に着いた。
港に着いたのは夜だった。
海の色も景色もよく見えなかったけれど、船を降りた瞬間、はっきりわかったことがある。
空気が違う。
「ああ、沖縄に来たんだな。」
そう思ったのを今でも覚えている。
そこからバスに乗って、本部の方へ向かった。
海洋博で働くアルバイトの宿舎へ向かうためだ。
その途中、道路脇に変わった木が見えた。
葉っぱの上に実がついている。
「あ、パイナップルがなってる。」
あとで知ったんだけれど、それはパイナップルじゃなくて
アダンという木だった。
今思えば、なんとも間の抜けた話だけれど、
そのときは本気でそう思った。
「沖縄に来たんだな」と、また思った。
沖縄での生活は、この夜から始まった。
このあと、海洋博の仕事をしながら、沖縄で8ヶ月過ごすことになる。
振り返ってみると、この8ヶ月は、
自分の人生の方向を決めた時間だったような気がする。
沖縄の話は、まだまだたくさんある。

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